択一は過去問を回せば正答率が見えます。ところが記述式は、書いてみても自分の答案が何点なのか分かりません。この「測れなさ」が、独学者が記述式を後回しにする最大の理由です。
この記事では、記述式60点が全体でどういう位置にあるかを数字で確認し、独学で詰められる部分とそうでない部分を分けたうえで、着手の順番をまとめました。
本文の試験に関する数値は、行政書士試験研究センターの公表内容にあたって確認し、確認日を明記しています。伝聞や他サイトの引き写しではないので、数字はそのまま計画づくりに使えます。
- 記述式の配点と、捨てた場合に必要な択一の正答率
- 採点基準が公表されていないことの意味
- 独学で詰められる部分と、詰められない部分
- 着手の順番と、使う教材
結論:記述式を捨てると、択一で75%が必要になる

記述式は40字程度で解答する問題が3問、配点は60点で300点満点の2割を占めます。
ここを0点と想定すると、残り240点で180点を取る必要があり、択一だけで75%の正答率が要ります。
一方、記述式で30点(半分)を確保できれば、択一に必要な正答率は240点中150点、62.5%まで下がります。記述式は「上積み」ではなく、択一の負荷を下げるための科目だと考えたほうが実態に合います。
そのうえで、独学で詰められるのは答案の型までです。自分の答案が何点かを判断する部分は、外部の採点を1回でも入れないと埋まりません。
記述式の配点と出題形式

まずは数字から見ていきます。行政書士試験は法令等46問・基礎知識14問の計60問、300点満点です。
合格には総得点180点以上、法令等244点中122点以上、基礎知識56点中24点以上の3条件を同時に満たす必要があります。
※表は横にスクロールできます。配点は近年の出題実績に基づく内訳です。
| 記述式で取る点数 | 択一・多肢で必要な点数 | 択一・多肢での必要正答率 |
|---|---|---|
| 0点 | 180点/240点 | 75.0% |
| 20点 | 160点/240点 | 66.7% |
| 30点 | 150点/240点 | 62.5% |
| 40点 | 140点/240点 | 58.3% |
| 60点 | 120点/240点 | 50.0% |
記述式で20点取れるかどうかで、択一に求められる水準が75%から66.7%へ下がります。この差は独学の負担として小さくありません。
出題は行政法1問・民法2問が続いている
センターが公表しているのは「40字程度で記述する問題を出題する」という形式までで、科目の内訳は明示されていません。ただし近年は行政法から1問、民法から2問という構成が続いています。
この配分は対策の順番に影響します。民法は2問40点を占めるため、択一で民法が弱い状態のまま記述だけを対策しても書けません。
択一の出来次第では記述式が採点されない
見落とされやすい点として、センターは「択一式問題の採点を完了した段階で合格基準を満たしていないと認められる場合には、記述式問題の採点を行わないことがあります」と明記しています。この場合は合否通知書にその旨が記載されます。
つまり記述式は、択一で一定の水準に届いてはじめて採点対象になります。記述式で逆転を狙う発想は成立せず、着手の前提として択一を仕上げる必要があることが、制度の側からも裏づけられています。
採点基準は公表されていない
記述式の採点基準や部分点の付き方は、センターから公表されていません。受験指導の現場では、条文や判例のキーワードが書けているかが評価に関わると説明されることが多いものの、これは推測であって公式に確認された基準ではありません。
この点は独学者にとって重要です。基準が公表されていない以上、模範解答と自分の答案を見比べても「何点なのか」は判定できません。独学の弱点が精神論ではなく制度上の問題であることの根拠がここにあります。
独学で詰められる部分・詰められない部分

記述式の対策を分解すると、独学で完結する作業とそうでない作業に分かれます。
※表は横にスクロールできます。
| 作業 | 独学で可能か | やり方 |
|---|---|---|
| 問われている条文・判例を特定する | 可能 | 択一の知識がそのまま使える |
| 40字前後にまとめる型を作る | 可能 | 模範解答の構文を数十問分書き写して型を掴む |
| 必要なキーワードを落とさない | ある程度可能 | 模範解答と自分の答案でキーワードを突き合わせる |
| 自分の答案が何点かを判定する | 難しい | 採点基準が非公表。外部の採点が必要 |
| 本番で時間内に3問書き切る | 難しい | 3時間の通し演習が必要。模試が有効 |
上3つは市販の記述式問題集で対処できます。下2つは、模試を受けるか添削のある講座を使うかで補うことになります。
フルパッケージの講座に切り替える必要はなく、記述の採点部分だけを外に出す形でも成立します。
対策の順番は4段階

記述式は最初から取り組んでも書けません。択一の仕上がりに合わせて段階的に進めます。
令和8年度試験は2026年11月8日(日)実施です。
段階1:着手の判定(〜8月)
着手の目安は、肢別過去問で行政法と民法がともに6割前後で安定したときです。
この段階に届いていないなら、記述式より択一を優先します。
知識がない状態で記述の練習をしても、書けないことを確認するだけになります。
段階2:型を作る(8〜9月)
最初は自分で書かず、模範解答を書き写します。
20〜30問分を書き写すと、40字前後にまとめる構文がいくつかのパターンに収まっていることが見えてきます。「誰が・誰に対して・何を・どうする」という順で組み立てられていることが多く、この骨格を先に体に入れます。
ここで使うのが記述式問題集です。主要なものとしては、合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集(早稲田経営出版・1,650円税込・292ページ・2026年2月26日発売)と、みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集(TAC出版・1,760円税込・452ページ・2026年2月19日発売)があります。いずれも別冊の解答用紙が付属します。
段階3:自分で書いて残す(9〜10月)
型が入ったら、模範解答を見ずに書きます。頭の中で組み立てるだけでは不十分で、必ず紙に書いてください。40字は思っているより短く、書き始めると入りきらないことに気づきます。
書いた答案は捨てずに残し、模範解答とキーワード単位で突き合わせます。落としたキーワードを一覧にしておくと、自分が何を落としやすいかの傾向が見えます。
段階4:外部の採点を1回入れる(10月)
採点基準が公表されていない以上、自分の答案が通用するかは第三者に見てもらうしかありません。模試には記述式の採点が含まれるものが多く、単体で申し込めます。数千円で、独学で唯一埋められない部分を埋められます。
より踏み込むなら、記述式の答案添削を含む講座を単科で使う方法もあります。択一が仕上がっているのに記述だけ不安という状態なら、フルパッケージより費用対効果が高くなります。
記述式で失点しやすい3つのパターン

書けているつもりで点が伸びない場合、原因は次の3つに分かれます。
パターン1:問いに答えていない
「誰に対して、どのような請求をすることができるか」と問われているのに、制度の説明だけを書いてしまう例です。
知識はあるのに設問の形に合わせられていない状態で、独学者に多く見られます。
書き終えたら設問文に戻り、問われた要素がすべて入っているかを確認しておきましょう。
パターン2:字数が大きく外れる
40字程度という指示があるため、極端に短い、または大幅に超える答案は評価に影響する可能性があります。
日頃から解答用紙のマス目を使って書き、40字の感覚を体に入れておく必要があります。
パターン3:本番で時間が残っていない
試験は3時間で60問です。択一に時間を使いすぎると、記述式に着手する時点で残り10分ということが起こります。
3問で最低20〜30分は残す配分を、年度別過去問の通し演習で決めておきましょう。
行政書士の記述式対策に関するよくある質問

- 行政書士試験の記述対策はいつから始めればよいですか?
-
肢別過去問で行政法と民法がともに6割前後で安定してからです。時期でいえば8〜9月が目安になります。
- 行政書士は独学で受かりますか?
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記述式60点をどう扱うかが分岐点です。捨てると択一だけで75%の正答率が要るため、現実的ではありません。
行政書士 独学で十分かの判断基準はこちら - 記述式は部分点がもらえますか?
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採点基準はセンターから公表されていないため断定できません。
ただし白紙で出すより書いたほうがよいという判断は変わりません。
- 記述式は捨てても合格できますか?
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制度上は不可能ではありませんが、択一・多肢だけで240点中180点、75%の正答率が必要になります。
独学でこの水準を安定させるのは容易ではないため、現実的な戦略とは言えません。
- 部分点はもらえますか?
-
採点基準はセンターから公表されていないため、断定できません。
受験指導では部分点があるという前提で説明されることが多いものの、公式に確認された情報ではない点はご承知おきください。
いずれにせよ、白紙で出すより書いたほうがよいという判断は変わりません。
- いつから始めればいいですか?
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肢別過去問で行政法・民法がともに6割前後で安定してからです。
時期でいえば8〜9月が目安になります。ただし学習開始が遅い場合は、択一と並行して早めに着手する必要があります。
- 記述式問題集はどれを使いますか?
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問題集全体の役割分担と、記述式を含む構成を整理しています。
行政書士 独学 問題集 おすすめの比較はこちら - 択一の進め方から見直したいです
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配点に基づく科目の順番と、1日の組み立て方をまとめています。
行政書士 独学 勉強法の全手順はこちら - 過去問の記述式を覚えれば足りますか?
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足りません。同じ論点が再出題される保証がないためです。
過去問でカバーできる範囲と別対策が必要な範囲を配点で切り分けています。
行政書士 独学 過去問の使い方はこちら - 答案添削のある講座を検討したいです
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価格帯と合格特典の条件を押さえたうえで、切り替えの判断軸を示しています。
アガルート 行政書士の評判の検証はこちら - 独学の全体像をまとめて知りたいです
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勉強時間の配分から教材選び、講座の比較までを1ページにまとめています。
行政書士 独学の全体ガイドはこちら

- 試験日・出題構成・出題形式(40字程度の記述式)・合格基準:一般財団法人 行政書士試験研究センター(2026年8月18日確認)
- 合格基準についての補足:センターが公表しているのは「法令等科目は満点の50%以上/基礎知識科目は満点の40%以上/試験全体は満点の60%以上」という割合です。本文中の点数(180点・122点・24点)は、300点満点・法令等244点・基礎知識56点という配点を前提とした換算値で、配点自体は合否通知書で通知されます。また同センターは、試験問題の難易度により補正的措置を加えることがあると明記しています(2026年8月18日確認)
- 記述式の採点基準が公表されていないこと:同センターの公表資料に記載がないことを確認(2026年8月18日確認)
- 記述式問題集の価格・発売日・ページ数:早稲田経営出版、TAC出版の各販売ページ(2026年8月18日確認)
- 科目別配点および記述式の科目内訳:近年の出題実績に基づく目安
本記事は合格や短期合格を保証するものではありません。記述式の採点基準は公表されていないため、本文中の得点に関する記述は制度上の計算と一般的な受験指導の説明に基づくものです。必要な学習時間や結果は、学習経験・確保できる時間によって異なります。

