合格体験記を読み漁っていると、途中で気づくことがあります。書いてある勉強法がそれぞれ違う。ある人は肢別を10周したと言い、別の人は3周で足りたと言う。読むほど、何を信じればいいのか分からなくなります。
この記事では、個々の体験記の中身を紹介するのではなく、複数の体験記に共通して現れる項目と、人によってばらつく項目を分けます。そのうえで、なぜ共通項が生まれるのかを試験の設計から説明します。
本文の試験に関する数値は、行政書士試験研究センターの公表内容にあたって確認し、確認日を明記しています。伝聞や他サイトの引き写しではないので、数字はそのまま計画づくりに使えます。
- 体験記に共通して現れる5つの型と、その理由
- 逆に人によってばらつく3項目
- 体験記の掲載元による性質の違い
- 読むときに気をつける3点
当サイトでは、実在しない合格体験談や口コミを掲載しない方針をとっています。この記事に特定個人の体験談は含まれません。また、他者が公開している体験記の本文を転載することもしていません。方針は記事制作ポリシーに記載しています。
結論:体験記から拾えるのは「共通する型」であって勉強法の正解ではない

合格体験記を複数読むときに拾うべきなのは、個々の勉強法ではなく、多くの記録に共通して現れる型のほうです。
個別の勉強法は書いた人の条件に強く依存するため、そのまま真似ても再現しません。
共通項が生まれる理由は、試験の設計が全員に同じ制約をかけているからです。300点満点で180点、法令等244点中122点以上、基礎知識56点中24点以上という基準は誰にとっても同じで、行政法と民法に配点が集中している構造も変わりません。
この制約に対して合理的に動くと、進め方は自然と似た形に収束します。
逆に、合計勉強時間や使った教材は条件次第で大きく変わるため、共通項にはなりません。
体験記に共通して現れる5つの型

公開されている合格体験記に繰り返し現れ、かつ試験の設計から見ても合理性が説明できる項目を5つ挙げます。
以下は「多くの記録で言及される」という性質のものであり、統計的な調査結果ではありません。
※表は横にスクロールできます。
| 共通する型 | 試験の設計から見た理由 |
|---|---|
| 行政法を優先している | 法令等244点のうち約112点を占め、条文知識がそのまま得点になる |
| テキストと問題を章単位で並走させている | 読む形式と問われる形式が違うため、間を空けると覚え直しが発生する |
| 1問1答形式を大量に反復している | 細切れ時間で進められ、正誤の理由を1肢ずつ確認できる |
| 記述式に着手した時期を明記している | 60点=全体の2割。着手が遅れると択一に75%が必要になる |
| 進捗を数字で記録している | 独学には締切も他人の目もなく、記録がないと遅れに気づけない |
共通項が示すのは「順番」であって「量」ではない
5つの型はいずれも、何をどの順で、どういう単位で回すかという話です。何時間やったか、何周したかという量の話は含まれていません。
体験記を読むときは、この「順番と単位」の部分だけを抜き出しておきましょう。量の部分は次の章のとおり、そのまま移植できません。
逆に人によってばらつく3項目

体験記どうしで食い違う項目には、食い違う理由があります。
真似る対象から外しておきましょう。
ばらつき1:合計勉強時間
一般に600〜1,000時間が目安とされますが、法律の学習経験がある人とまったくの初学者では数百時間単位で違います。
宅建士に合格している場合は民法の基礎が共通するぶん短くなり、初学者は上振れします。
したがって「◯◯時間で合格した」という数字は、その人の開始時点の条件が書かれていない限り参考値になりません。条件の記載がある体験記だけを比較対象にしておきましょう。
ばらつき2:使った教材と周回数
主要シリーズの基本テキストは価格も構成も大きくは変わらず、どれを使ったかで合否が決まる性質のものではありません。周回数も、1周あたりの精度によって必要な回数が変わります。
参考になるのは「何を使ったか」より「何を買ったのに使わなかったか」のほうです。捨てた教材の記述には、その人が不要と判断した理由が入っています。
ばらつき3:受験年度と得点
合格率は直近5年で11.18%〜14.54%の間で動いており、年度によって出題の難易が変わります。得点の絶対値を他年度と比べても意味がありません。
また、令和6年度試験から出題科目の区分が「一般知識等」から「基礎知識」に変わり、行政書士法など業務に関連する諸法令が明示的に加わりました。それ以前の年度の体験記に書かれた一般知識対策は、現行の構成とずれています。
掲載元によって体験記の性質が違う

合格体験記は主に2種類の場所にあります。
どちらを読んでいるかを意識しないと、独学の参考にならない記録を読み続けることになります。
※表は横にスクロールできます。
| 掲載元 | 特徴 | 独学の参考になるか |
|---|---|---|
| 資格スクール・講座の「合格者の声」 | 体裁が整い、学習期間や得点が明示されていることが多い | 執筆者はその講座の受講者。独学の記録ではない点に注意 |
| 個人ブログ・note・SNS | 日付順の学習記録が残り、失敗も書かれている | 独学者の記録が見つかる。条件の記載を要確認 |
講座サイトの合格者の声は、その講座を受講して合格した人の記録です。教材の使い方は参考になりますが、「独学でどう進めたか」を知りたい目的には合いません。独学の記録を探すなら個人の発信を当たることになります。
探す場所と読むときに見る項目は、別記事で詳しくまとめています。
行政書士 独学 ブログの探し方はこちら
体験記を読むときの3つの注意

体験記は一次情報として価値がありますが、そのまま判断材料にすると誤ります。
注意1:残っているのは成功例だけ
公開され続けるのは合格した人の記録で、途中でやめた人の記録はほとんど残りません。
令和7年度(2025年度)は受験申込者63,845人に対し受験者50,163人で、約1万3,000人が当日欠席しています。この層の記録は表に出ません。
なお、独学者だけの合格率はセンターが集計・公表していないため、体験記の数から独学の成功率を推定することはできません。
注意2:読む時間が学習時間を圧迫する
体験記は読んでいる間、勉強している感覚が得られます。
ところが得点にはつながりません。
読むのは学習方針を決める最初の数日と、進め方に詰まったときだけにして、5〜10本読んだら止めてください。
注意3:引用するときは出典を明記する
読んだ内容を自分のブログやSNSでまとめる場合、本文の転載はできません。
引用は必要な範囲にとどめ、引用部分を明確に区別し、出典(掲載元・記事タイトル・URL)を示す必要があります。
行政書士の独学合格体験記に関するよくある質問

- 行政書士独学の合格体験記はどこで読めますか?
-
個人ブログ、note、SNSの3か所が中心です。講座サイトの「合格者の声」は受講者の記録なので、独学の参考にする目的とは合いません。
- 行政書士ガチ勢の割合は?
-
受験回数や1日の学習時間の分布は公表されていないため、割合としては答えられません。
分かっているのは、令和7年度に申込者63,845人のうち約1万3,000人が当日欠席しているという事実です。
- 行政書士試験に独学で受かった人の勉強時間は?
-
記録によって幅があります。開始時点の条件が書かれていない数字は自分に当てはめられません。
行政書士 独学 勉強時間の目安はこちら - 体験記は何本くらい読めばいいですか?
-
5〜10本で十分です。それ以上読んでも共通項は増えず、ばらつく項目に振り回される時間が増えます。
自分と条件が近い記録を2〜3本見つけたら、そこで止めて学習に戻ってください。
- 独学者の体験記はどこで探せますか?
-
ブログサービス内の検索、note、SNSのハッシュタグの3か所が中心です。探し方と読むときに見る項目をまとめています。
行政書士 独学 ブログの探し方はこちら - 共通項を自分の学習にどう落とし込みますか?
-
科目の順番と1日の組み立てとして設計し直します。
行政書士 独学 勉強法の全手順はこちら - 学習計画の形にするにはどうしますか?
-
公式日程を固定してマイルストーンを逆算し、週単位に落とします。
行政書士 独学 スケジュールの組み方はこちら - 体験記でよく出てくる記述式の話が気になります
-
着手時期が体験記で必ず触れられるのは、配点が60点=全体の2割を占めるためです。対策の順番をまとめています。
行政書士 記述対策 独学の進め方はこちら

- 出題構成・合格基準・出題科目の区分変更:一般財団法人 行政書士試験研究センター(2026年8月18日確認)
- 合格基準についての補足:センターが公表しているのは「法令等科目は満点の50%以上/基礎知識科目は満点の40%以上/試験全体は満点の60%以上」という割合です。本文中の点数(180点・122点・24点)は、300点満点・法令等244点・基礎知識56点という配点を前提とした換算値で、配点自体は合否通知書で通知されます。また同センターは、試験問題の難易度により補正的措置を加えることがあると明記しています(2026年8月18日確認)
- 令和7年度(2025年度)の受験申込者数63,845人・受験者数50,163人・合格者数7,292人・合格率14.54%、直近5年の合格率推移(11.18〜14.54%):同センター公表値(2026年8月18日確認)
- 学習時間の目安(600〜1,000時間):各資格予備校が公表する目安の範囲。公式の数値ではありません
- 科目別配点:近年の出題実績に基づく目安
本記事は合格や短期合格を保証するものではありません。特定個人の体験談は含まず、他者が公開している体験記の本文を転載してもいません。本文中の「共通して現れる項目」は統計調査の結果ではなく、試験の設計から合理性を説明できる項目として整理したものです。

